横浜市役所内の3、4階の廊下はうす暗く、仕事へのモチベーションにも影響するようなことをある職員さんはお話ししていました。
確かにはじめて見たときは、ハツラツして仕事を!!・・という雰囲気ではないのも、よくうなずけてしまいました。
この3、4階の廊下と天井は20年ほど塗装していません。
民間の会社なら、汚れているなら塗装しなければという発想になって、塗り替えるということになるとは思うのですが、横浜市役所の場合は発想があってもむずかしいとのことでした。
それは横浜市ではかなりの財政難という理由からです。
通常は塗装業者にお願いすることになるので当然ながら費用がかかります。
そしてその費用は税金です。
行政側からみれば、自分たちの職場をきれいにするために、税金を使って塗装するなんてことは、市民に対して申し訳ないということもあるのだと思います。
増してやほかに使うべき必要があるところもたくさんあるでしょうから、市民からの語弊も生まれかねない可能性も無きにしもあらずだと思います。
独立行政法人などの無駄な税金や天下りが批判される中で、税金がつかえない分、自分たちの力量で何とかするという発想は、ものすごく素晴らしいことではないでしょうか。
実は横浜市ではもともとこれに似たような事業が以前からありました。
中田横浜市長時代に発案された、広告事業というものです。 民間会社の広告などを、行政の管轄する場所に掲示してスポンサー料を財源にあてるという広告事業です。
記憶では横浜市が全国ではじめて導入したということですが、財源不足を自分たちの力でどうにかしようという意識は、他の地域より根付いているのだと思います。
今回私たちが指導に協力させていただいたのは、恥ずかしながら会社のイメージアップ的なこともありますが、活動の素晴らしさに加えて、広告事業のようにほかの自冶体までにも飛び火すれば面白いと思ったからです。
特に、事業仕訳で注目されている独立行政法人などは、無駄な予算をカットされるだけでなく、さらに税金を使わないようなこのような自主的な取組みが、これからはあってもいいような時代に来ているのだと、勝手ながらに思ってしまいます。
塗装工事にかける費用の大部分は人件費です。
発想はあっても中々できることではないかもしれませんが、たとえ予算が下りないとしても、材料と道具のわずかな予算、そして技術があれば、工事費用のほとんどを占める人件費は自分たちで賄えることができることを証明したということでもあります。
技術といっても本気を出して覚えさえすれば、それほど難しいものだとは思いません。
実際に少し教えただけの試し塗りの時の担当者さんの刷毛さばき、ホントにはじめて?というものでした。
確かにこの横浜市役所での塗装は大規模なものですが、小さいビルの廊下塗装ぐらいであれば、必ず素人さんでもできると思います。要はやる気ですね。
とにかく職員さんの中には休みもあまりなく、夜も10時近くまで残業する日が少なくないということですから、 それを休日返上してまで、しかも予算がない状態でここまでこぎつけるという発想と実行力がものすごいと思いました。
そのハケさばき、ホントにはじめて?